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認知症特集

認知症特集09


認知症高齢者のケア技術

近年、患者様との関わり方においてユマニチュードが推奨されており、当院でもユマニチュードの初任者研修に多数のスタッフが参加し、当院でのケアに活かせるよう日々努力しています。また、認知症治療病棟では、クオリティ高い豊かな人生の統合への援助をさせていただく気持ちを常に忘れず、生命への畏敬の念を持ち、人生の大先輩としての高齢者の人権を擁護できるよう心掛けています。


01 BPSDの緩和 ⇒ 認知症が緩和

BPSD

●薬物療法、

●非薬物療法(環境・看護ケア)、

●精神的・身体的リハビリテーションにより、BPSDの緩和を目指します。BPSDの緩和は、認知症の緩和に直接つながっています。


02 BPSDの緩和 ⇒ 認知症が緩和

認知症の疾患ばかりに注目すると、「何もできない」「時間がかかって仕方がない」と諦めばかりが先行し、何もやらせなくなってしまいがちですが、MMSEが0点であっても、歯ブラシやコップを一つずつ渡せば、自分で歯を磨き、うがいをすることができることがあります。 このように、一部分を介助すれば一連の動作ができたり、あるいはゆっくりと待っていればできたりと、持てる力を見極めることで、可能性を引き出すケアへと結びつけることができます。 その能力を維持・向上させることは、感情面の安定や人間性・社会性の維持・回復させ、自分らしい生活を送ることで、認知症高齢者の尊厳の保持につながります。



03 症状・程度による介護内容の違いは?

一緒に生活していたお年寄りが初めて認知症の症状を見せた時の家族のショックはかなり大きいものと思われます。認知症も初期の段階では精神的に受け入れることが大変ですが、認知症を正しく理解して病気であることを家族が受け入れること、関わり方によって症状が和らぐことを受け入れます。次第に中期に入ると徘徊や夜間不穏が始まり、 危険の防止に気を配らなければなりません。そして認知症が進行して最終段階に入ると、寝たきり状態と考えたほうがいいでしょう。


04 認知症高齢者との対応 ⇒ 優しさを伝える技術

1.笑顔で対応

相手の表情をよんで反応する能力は本能的に持っている

2.触れるときは、広い面積でゆっくりとやさしく

認知症高齢者は急に触れられるとびっくりしてしまう。
ポジティブな触れ方には「優しさ」「喜び」「慈愛」そして「信頼」が込められている。
動作としては「広く」「柔らかく」「ゆっくり」「なでるように」「包み込むように」背中など面積の広い部分から触れることで安心感を与えます。赤ちゃんに触れる時のことを思い出してみてください。

3.手を無理に引っ張らない

3.手を無理に引っ張らない

無理に引っ張るとさらに抵抗はひどくなり興奮を伴う

支えるときは、掴まないで下から支える

4.失敗させない働きかけ

歯磨き、更衣、食事、入浴などの援助はできる部分は行ってもらい、 決して急がせないようにし、成功体験を積み重ねることで、自信が持てるようにする。

5.叱ったり説得しない

敬語を用い、相手を誉める。敬語から「大事にされている、尊重されている」という感覚が伝わる

敬語を使った礼節な対応には、患者も丁寧に返す

理性や理屈が困難になっている対象者には叱ったり、説得することは逆効果

否定的、拒否的、威圧的な言葉は使わない。人格を損なう言葉には敏感に反応する

6.話しかけるときは、正面から、目線は同じ高さに。そしてケアを行うときは必ず声掛けを行う

話しかけるときは、正面から、目線は同じ高さに。認知症高齢者の視野は、手で筒を作って見る状態で、情報の入り口としての視野が狭くなっています。だから、正面から近づき、相手と目を合わせることが必要です。円背の場合は下から覗いて下さい。横や後ろから声を掛けても気づかれにくいので、一度追い越してから向き直り正面から声をかける。

声掛けしないで関わると、患者は何をされているか理解できず、とても怖い思いをし、激しく抵抗したり、攻撃的になる。

7.看護行為または日常生活の援助時は、実況中継のように説明をし続ける

ポジティブな言葉を使う。

前向きな言葉でポジティブな感情記憶を残すことで、この人と一緒にいると心地よいという印象をつけます。

8.不快なことは素早く終わらせる

痛みを伴う処置、行動を制限する治療、排泄ケアなどには強い抵抗を示す

不快なケアを行うことを伝え笑顔で敬語を用いて、こちらから謝る態度を持って素早く行い不快な刺激をなるべく避ける

9.気持ちに余裕を持ち、患者に関心を向ける

看護者の「嫌だ」「嫌いだ」という感情を患者は敏感に察知している

やるべきことが多くても、無視せず「少し待ってて下さいね」の声掛けや目線を送る

最も悪いことは、相手を無視して話しかけないこと

05 認知症のケア技術

認知症ケア技術
  1. 認知症は前頭葉機能の低下から総括的・全体的に考えをまとめる能力が低下

  2. 五感を通して受ける刺激を「快」「不快」という単純な反応として受け止め、
    「快」刺激 ⇒ 気持ちが安定し穏やかになる
    「不快」刺激 ⇒ 怒り、抵抗や攻撃をする




  3. 大脳機能のうち大脳皮質は「新しい皮質」と言われ、快刺激は大脳辺縁系の反応であり、大脳皮質の機能が低下している認知症患者には大脳辺縁系への働き書けとなる快刺激が効果的です。



例えば・・・誉める

「ステキなお名前ですね」「今日の洋服ステキですね」 「娘さんが選んでくれたんですか?センスいいですね」など、誉めることで快刺激となり、対象者の気持ちが安定し、穏やかになります。名前でも家族でも故郷でも何でもいいので誉めて下さい。



06 臨床でよく遭遇する場面への対応

点滴やドレーンを抜去する患者の対応

1)やさしくゆっくりと点滴やドレーンが挿入されている事を何度も説明する。

2)点滴やドレーンが視野に入らないよう工夫する。

3)点滴の固定絆創膏に「点滴ですよ」と書き、視覚的刺激を活用する。

臨床でよく遭遇する場面への対応

【これらの対応の根拠】

●初期の近時記憶障害により覚えておくことが困難となり、耳からの説明はすぐに抜け去るので、確認できる視覚的刺激を活用する。

● 説明を長時間保持できないので、「何度も触らないでとお伝えしてるでしょう」という説明は、否定されている、バカにされていると伝わってしまう。脳の機能低下があるので五感を通して受ける刺激を「快」「不快」という単純な反応として受け止め、「抜かないで下さい」という説明は理解を得る関わりで「不快」な刺激となる。優しくゆっくりと繰り返す「快刺激」によって安定する。

【してはいけないこと】

1. 抜去しないよう叱り強く指導すると、混乱し周辺症状を発症し興奮や介護抵抗が強くなる。

2. 抜去予防にミトン型手袋の使用やシ―ネ固定は「不快」な刺激となり周辺症状を発症させ、対応がますます困難となる。



物盗られ妄想が強く、犯人だと決めつけられたときの対応

1)「一緒に探しましょう」「ホールでお茶を飲みましょう」と身体を動かし他のことに目を向ける。

【これらの対応の根拠】

物盗られ妄想は、初期の周辺症状の中で最も多く出現し、身近な人が妄想の対象となる。記憶障害や判断力の低下などで発症し、他のことに目を向けさせると短時間で忘れてしまう。

【してはいけないこと】

「財布はご家族が持って帰りました」「あなたが起き場所を忘れたのでしょう」と指摘し訂正しても患者に理解してもらうことはできない。事実にないことと受け止め、焦燥や徘徊などの周辺症状を発症させる。



頻回に「トイレに行きたい」と訴える患者の対応
⇒「トイレ行きたい」「家に帰りたい」が訴えではない

1)「 それではトイレに行きましょうね」と声をかけながら、廊下に飾ってある写真を見せたり、周囲の風景について話すなどして、落ち着いたところで病室にもどる。

2)「ちょっとこっちを手伝ってくださいますか」などと、ほかのことに目を向けさせる。(また訴えてきても繰り返す。)

【これらの対応の根拠】

1.「トイレに行きたい」という訴えが膀胱炎でないかを鑑別し、その背景に中核症状に伴う焦燥や不安が関与していることを理解して対応する。

2.尿意の有無などの排泄に着目せず、排泄以外のことに患者の意識を向けて、気分転換を図る。例えば、音楽を聴く、本の読み聞かせなどのレクレーションを実施する。

【してはいけないこと】

1.「さっきトイレに行ったばかりだから出るはずないでしょう」と現状を説明して分からせようとしない。

2.トイレ誘導し、「ほら、言ったとおり出なかったでしょう」と排尿がないことを指摘しない。

3.訴えが続き興奮状態になり安全を確保するため、身体拘束や鎮静剤の投与を安易に行わない。



オムツを外す患者の対応

1)オムツを使用せず、排尿パターンを把握してトイレ誘導を試みる。

2)24時間着用せず外す時間を見際め、排泄後はすぐに交換する。

【これらの対応の根拠】

1.「トイレに行きたい」という訴えが膀胱炎でないかを鑑別し、その背景に中核症状に伴う焦燥や不安が関与していることを理解して対応する。尿意の有無などの排泄に着目せず、排泄以外のことに患者の意識を向けて、気分転換を図る。例えば、音楽を聴く、本の読み聞かせなどのレクレーションを実施する。

【してはいけないこと】

1.オムツを外さない様にツナギ服やミトン型手袋を使用すると、ストレスとなりBPSDを発症させ、暴言・暴力や介護抵抗、夜間不眠などがみられ対応が困難となる。



暴言や暴力がみられケアの拒否が強い患者の対応

1)攻撃性や焦燥が強いときは、無理強いせず一時的にその場から離れて見守り、ケアのタイミングをずらし、ケアを行うときは必ず声をかける。

2)状態に応じてレクレーションを行うが、集中力が低下しているので単純で分かりやすい項目を選択する。

【これらの対応の根拠】

1.中期は中核症状の進行によってケアや会話の内容が理解できず、それらを自分で確認する言語能力も低下しているので状況を確認できず、不安や混乱から暴言や暴力につながる。しかし、幻覚や妄想は短時間で消失するのでタイミングをずらす。

【してはいけないこと】

1.数人で押さえつけてオムツ交換や入浴を実施すると、恐怖を増強させ激しい周辺症状へと悪化させる。

2.患者の安全確保のために身体拘束や鎮静剤を投与しない。



07 終わりに

認知症看護って大変そう・・・と思われる方の方が多いと思います。
しかし、私たちの看護で患者様が穏やかになり、在宅へ戻る姿を見るのはとても嬉しく今後の看護の励みになります。
「笑顔」「感謝」「プラス思考」でスタッフが活き活き=患者様を活き活き=家族を活き活き」にするのではないでしょうか。皆様に期待される佐藤病院となるために、今後も笑顔で頑張ります。


参考文献
本田美和子、Y.ジネスト、R.マレスコッティ:ユマニチュード入門 医学書院2005
大塚恒子 身体拘束回避につながる認知症の正しいアセスメントと対応 日総研出版2017
六角僚子、柄澤行雄:高齢者ケアの考え方と技術 医学書院 2005
如澤学:認知症看護におけるミスケアについて 精神看護 2017.7
栃木県実習指導者講習会 老年看護 講義資料 2017

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