特集記事

最新治療/特集

統合失調症患者さんへの対応

01 統合失調症患者さんへの対応

社会の一番小さな単位は家族です。
家族が患者を受け入れられるか否かは、この病気の予後に大きな関わりを持つことにあります。
まず本人に起こっている事は、病気である事を家族が認める事と理解する事です。精神疾患という事で、偏見を持たず、一人の人間として対応する姿勢が大切です。
そのうえで、本人がどのような事で悩んでいるかに対応して下さい。

例えば、幻覚妄想体験に関しては、頭から否定してはいけません。
そのつらさに共感して、「そんな声が聞こえてきてつらいんだね」「大変だね」などの言葉かけをしていく事がいいと思います。妄想に対しては、荒唐無稽な事を言っていても、本人はその通り思い込んでいますから、「(私はそうは思わないけど)あなたがそう思ってしまう気持ちはわかりますから」など、やんんわりした否定と共感が必要です。

また陰性症状により日常生活能力が低下している事に関しては、病気の為に自分の力でできない事を補う事が大切です。しかし、過干渉になりすぎる事は逆に本人の生活力を落としてしまうので、注意しましょう。

良き援助者となる為の家族と援助者の条件

1)保護する働き

社会で傷ついた患者さんを、責めたり不用意に励ましたりせずに、休ませてあげて下さい

2)不安をしずめる役割
保護するだけでなく、もっと積極的に不安を取り除く事も時には必要です。
患者さんの不安に巻き込まれてしまわないように注意しながら、辛抱強く話を聞いて、共感しながらやんわりとした激励をしてあげて下さい。

3)補う役割
病気の為に自分の力でできない事を補ってあげて下さい。服薬管理・通院・事務手続き・家事等がそれにあたります。但し、やりすぎ事に注意が必要です。
やりすぎは、本人の自立の芽をつんでしまいます。

4)育てる役割
不安のとれた患者さんが、再び社会で生活できるように、育てていきましょう。
患者さんのもつよい面や健康的な面を見出して、自立生活につなげていく事です。

5)手放すこと
必要な時は手放す事ができなければ、いけません。
何もかも援助してあげる事はできないし、してはいけません。
自分で歩き出そうとしている時は、心配しながら見守っていくことです。

6)理解すること
1)~5)の事を行っていく為には、統合失調症という病気と患者さんの事を理解する事が前提となります。
患者さんをよくみて、よく話を聞くことです。
医療サイド、例えば看護師さんがよく話を聞くことで医師より信頼を得られる場面も多々あります。
ある面においては、看護師が家族や医療スタッフが医師を超える事ができるのが、精神疾患の分野かもしれません。

家族だけで、統合失調症の患者さんをみていく事は限界があります。介護する家族が孤独感を感じて。疲弊するような状態はいけません。
病院や社会資源(地域包括支援センター、訪問看護ステーション等)を利用しながらのフォローをお勧めします。