うつ病の危険因子
01 うつ病の危険因子
うつ病には発病のきっかけとなる危険因子が存在します。

(1)ストレス状況・環境要因
「うつ」というと一般的には、ストレスの関与を思い浮かべる人は多いと思います。ストレスや環境要因がうつの直接原因であり、この要因が過ぎれば症状も治まってしまうタイプのうつ状態は確かに存在します。
しかし、中等症~重度のうつ状態の多くはストレスは発症にきっかけにすぎず、ストレス状況が解決してもうつ状態が続きます。
また発症直前にストレス状況がなくても、うつが発症する場合もあります。
しかし、『ストレス状況 環境要因』がうつ病の最も問題となる危険因子であり注意は必要です。
以下のような『ストレス状況 環境因子』があります。
(2)環境変化(結婚 離婚 配置転換 昇進 転居 進学等)
(3)ストレス体験(家族問題 隣人問題 役割・やる事の増加等)
(4)喪失体験(親しい方との死別・離別 退職 解雇 経済的損失等)
(5)健康問題
※若年~中高年者は(1)・(2)、高齢者は(4)・(5)が多く、(3)は全世代の共通の因子です。
特に健康問題は自殺の原因となる事が多いです。
(2)性格要因
元来は、『几帳面 真面目 凝り性 人に配慮する』
などのメランコリー親和型と呼ばれる性格傾向がうつ病になりやすいとされてきました。
目の前でおきている出来事を悲観的にとらえやすい傾向のある人も、うつ病になりやすいと考えられています。これは『認知のあやまり』と呼ばれ、このような悲観的思考をもたらす考えの方向性を正していく必要性があります。
(2)『極端な一般化から』から悲観的になる
一つの出来事を、全ての事に当てはめて考えてしまい修正がきかない事
(3)『完全主義傾向』から悲観的になる
(4)『失敗体験の過大評価』から悲観的になる
1割あるいは1回の失敗を許せない
(5)『成功体験の過小評価』から悲観的になる
9割の成功を喜べない
(6)『過剰な自責感』から悲観的になる
弱気になった時に、「みんな私が悪いんだ」という思考になりやすい
(3)遺伝要因
近親者にうつ病の方がいた場合等は、いない場合よりなりやすいと言われていますが、遺伝は絶対的要因ではないので過剰に気にする必要はありません。