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当院のBZ系薬剤の使用方針と使用状況

01 当院のBZ系薬剤の使用方針と使用状況

当院では、BZ系薬剤服用のリスクを考慮し、極力使用しない方針で治療を行っております。
当院の外来と入院における睡眠薬の使用状況は、下記の通りです。

入院患者睡眠剤系統別分類

入院患者におけるBZ系と非BZ系睡眠薬の使用率は、2015年では98%を占めていましたが、メラトニン受容体アゴニスト及びオレキシン受容体拮抗薬の使用率が年々高まり、2022年には7%まで低下しています。
この変化は、2015年以降、転倒や誤嚥事故を防止する対策のひとつとして、使用薬剤の見直しを行ったことがきっかけになっています。

また、非BZ系薬剤に分類されるエスゾピクロン(ルネスタ)、ゾルピデム(マイスリー)、ゾピクロン(アモバン)は、転倒リスクがBZ系薬剤より少ないとされていますが、当院では使用によるリスクはBZ系薬剤と同等と考えており、極力使用しない方針で治療しています。

佐藤病院入院患者の睡眠薬内訳の変遷

こちらは、2015年から2022年における、入院患者の睡眠薬内訳の変遷になります。
2015年は、フルニトラゼパム、ブロチゾラム、ニトラゼパムの使用が高いですが、3年後の2018年には、これらの薬剤の使用は大きく減少し、ラメルテオンやスボレキサントの使用が大幅に増加しました。

レンボレキサントが発売になった2020年以降は、同じオレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサントの使用が減少し、レンボレキサントの使用が増加しました。ラメルテオンについては大きな変化は無く、高い使用件数を維持しています。

佐藤病院入院患者睡眠薬内訳

こちらは、2022年の入院患者の睡眠薬使用内訳になります。
ほぼ同率でラメルテオンとレンボレキサントの使用が多く、次いでスボレキサントが続きます。

ラメルテオンとレンボレキサントの使用割合がほぼ同率である理由のひとつとして、当院ではこの2剤を併用することが多いことが考えられます。

また、クロナゼパムが現在でも6%使用されています。これは睡眠薬としてではなくてんかんや神経疾患に使用されたものが多いのですが、今後は使用について再検討が必要と考えております。

佐藤病院外来患者の睡眠薬内訳の変遷

こちらは、2021年4月から2022年6月までの14ヵ月間における、外来患者の睡眠薬内訳の変遷になります。
外来患者の使用率の変遷は、入院患者の変遷同様、ラメルテオンは高い使用率を維持しつつ、スボレキサントは大幅に減少、レンボレキサントは大幅に伸びています。

外来の場合、BZ系薬剤と非BZ系薬剤の使用率が入院に比べ少し高くなり、入院では使用していないエチゾラムなども未だに使われています。こちらについても、今後再検討が必要な課題です。