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双極性障害の症状

01 双極性障害の症状

うつ症状については、うつ病特集のうつ症状を参照して下さい。
ここでは躁状態について説明します。

(1)軽躁状態と躁状態の違い

持続期間は軽躁状態が4日以上 躁状態が7日以上と定義されます。
躁状態は、症状が重度であり社会生活に著しい支障をきたし、周囲を困惑させます。
社会的地位をなくしたり家庭不和を生じたり、経済的な損失を負ったりします。
刑事事件に発展するケースもみられます。

(2)躁症状について

躁状態のイメージは、ハッピーでハイテンションと思われがちですが、決してこの状態に限らず、『不機嫌な高揚感』を伴う事が多いです。
それは、「不機嫌な、絶えず心の中で何か突き上げられるような、じっとしていられない高揚感」であり、衝動性が高まっ ています。

双極性障害の基本症状と周辺症状

<基本症状>

1)高揚気分・爽快気分
気分がスッキリ爽快で、ハイテンションである

2)多弁・多動
とにかくしゃべり続け、絶え間なく動く
1日中活動しても疲れない

3)易刺激性・易怒性亢進
些細な事で敏感にあり、怒りっぽくなる
人間関係でトラブルあり

<周辺症状>

1)浪費
不要なものに大金を使ってしまう

2)睡眠欲求の減少
睡眠をとらなくても疲れを感じない

3)思考奔逸(観念奔逸)
連想が豊かになりすぎて、色々な事がつぎつぎ頭に入ってきて、落ち着いて考えられず、内容がまとまらない

4)行為心迫
何か行動をしなければいられなくなる

5)注意散漫
1つの事に集中が出来ず、注意が容易に別なものに移ってしまう

6)自尊心の肥大と誇大妄想
何でもできるような気持ちになり、それが高じると、自分は特別であるという妄想的思考となり、根拠のない言動や行動となる
例)『オレはイエスの生まれ変わりだ』『自分は10億円のお金がある』

7)性欲の亢進
普段にはみられない性的な乱れがある

8)社交性の増加
友人と必要以上に交流を持ったり、見知らぬ人と平気で交流する

9)病識欠如
うつ状態と違って、病気による異常状態である事が認識できない

<基本症状と周辺症状よりおこる行動化>

・社長や上司に直訴したり、怒鳴り散らしたりして会社もやめてしまう
・昼夜問わず友人や家族に連絡する
・不要なものを大量に買ったり、衝動的に高額な買い物をしてしまう
・ギャンブルに大金をかけたりして借金を背負う
・危険な投資や事業計画をしてしまう
・見ず知らずの人と性行為をしてしまう
・家族に攻撃的になり、家庭不和を生み、別居・離婚に至る
・アルコールや不法ドラッグの乱用

<急速交代型と混合型>

この両型とも治療は難治である事が多いです。
1)急速交代型(rapid cycling)
1年に4回以上躁とうつの病相を繰り返す場合
双極性障害の患者さんの5~20%にみられる女性に多く、甲状腺機能障害の頻度が高い

治療しないと寛解期が短くなっていきます。

2) 混合型(mixed state)
躁状態とうつ状態が混在している状態
臨床で多くみられるのは
・抑うつあるいは不安を伴った躁状態
・興奮や焦燥感を伴ったうつ状態