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うつ病患者さんへの家族・援助者・治療者の対応

01 うつ病患者さんへの家族・援助者・治療者の対応

1)休息をさせる事

前述したように特に急性期は休養が必須です。休ませてあげましょう。
就労している人は診断書を作成してもらって下さい。

2)激励は禁物 特に『頑張って』は禁句

「なるべく運動した方がいい」「頑張って食べて」「頑張ってよくなって」等の激励は本人の心を傷つけます。頑張りたくても頑張れないのが、うつ病なのです。

3)本人の意にそわない事をやらない本人が乗り気でない事をさせる事は逆効果です。

「気晴らしにドライブに行こう」「久しぶりに外出しよう」などは、回復期になっての状態次第では可能な場合はありますが、急性期ではNGです。

4)重大な決心を先延ばしさせる

急性期の症状悪化に悲観して、会社に辞表を提出してしまう患者さんがいます。
思考が悲観的になっている為、物事に対する視野が狭くなり、そのような行動をする事があり、周囲は注意していく必要性があります。

5)日常生活のフォロー

会社へのフォロー
うつ病で休職する場合は、様々な事務手続きがあります。(診断書を届けて病状を説明 傷病手当金等)があり、急性期の本人には無理であり、家族が代行して下さい。
その後の会社関係の事も、回復期に入るまでは家族の代行が必要です。

家事・育児のフォロー
家事・育児をやっていた方(特に主婦)がうつ病になって場合は、本人に(出来る限り)家事・育児させない環境が必要です。
配偶者のみで無理なら、親の力を借りる事が必要です。

6)躁状態の発現に注意

うつ病としての治療中に、その患者さんが躁うつ病(双極性障害)の素因がある場合等に、
躁状態を発症するケースがあります。
うつ病の病名で治療中の患者さんの16%が躁うつ病であったとの研究結果もあります。
躁状態は場合によっては、社会的地位を失ってしまう事もあります。
家族のみならず治療者側も、迅速な対応が必要です。


7)希死念慮・精神病性うつ病の対応

希死念慮(死にたい気持ちになる)・精神病性うつ病(妄想が出現)は、入院対応が必要です。
また、精神症状によっては、うつ病でなく別な精神疾患の可能性があります。
治療者側と相談して、迅速に対応して下さい。

8)認知症との鑑別

以前NHKが認知症専門医にアンケートをとったところ、認知症として紹介された患者の26%がうつ病であったとの結果でした。
初期の認知症とうつ病は、鑑別が難しい症例があります。両者が合併している症例もあるからです。
上記とは逆に、うつ病で治療されていて実は認知症であるケースもあります。
治療者側はうつ病の治療が停滞している場合は、視点を変えてみる必要性があります。