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うつ病の栄養学

01 うつ病の栄養学

1)うつ病によい脂肪酸は何?

脳内は神経伝達物質が神経細胞と神経細胞をつなぐ事で、情報が伝わります。
伝達物質の受け渡しを助けるのが、『神経細胞の膜』を軟らかくするオメガ3脂肪酸です。
その代表が、青魚(イワシ・サバ・サンマ・アジ・ブリ・マグロ)に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)があります。
DHAやEPAは熱で変性されてしまうので、青魚は刺身で食べる事をお勧めします。
この他にα―リノレン酸を多く含むアマニ油、シソ油、ナタネ油、クルミ等にもDHA・EPAが多く含まれます。
アマニ油は、サラダ・味噌汁・豆腐・納豆等にかける事をお勧めします。
オメガ9脂肪酸であるオリーブオイルは、記憶力低下に効果があるオレイン酸を多く含んでおり、パスタやアヒージョがお勧めの料理です。

2)パンに塗るのは何?

マーガリンは人口の油であるトランス脂肪酸が入っており、動脈硬化の原因になり脳にもいい影響がなく、あまりお勧めできません。
パンには天然のバターかオリーブオイルがお勧めです。

3)タンパク質は摂るべし!!

良質なタンパク質をとりましょう。
タンパク質にはアミノ酸が含まれています。
アミノ酸は20種類ありますが、体内で合成できず食事で摂るしかないアミノ酸9種を『必須アミノ酸』と呼びます。(学生時代の生化学の試験でのキーワードが『ロバとリス不明』で、8種はこれで覚えられました。懐かしいです。)
必須アミノ酸で重要なのは、脳活動の要となるセロトニンの材料となるトリプトファンです。
これがビタミンB6と炭水化物の力を借りて脳内に入り、セロトニンになります。

4)ビタミンB群 は潤滑油!!

ビタミンB1、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸等のビタミン類は、神経伝達がうまくいくように補助的にはたらく潤滑油としての役割があります。
葉酸不足が男性うつ病再発リスクを高めるとの報告もされています。

5)味覚低下は亜鉛不足?

日本人の4分の1は亜鉛欠乏状態といわれて。亜鉛もビタミン同様に神経伝達に補助的にはたらき、うつ病の予防効果が期待できます。
亜鉛は味蕾(味を感じるところ)に多く分布する為に、不足は味覚異常を引き起こします。

6)『ココロの不調回復 食べてうつ抜け』

上記は精神科栄養学の大家である奥平智之医師の著書名です。先生はこの本で、色々な栄養について触れてらっしゃいますが、特に鉄不足が精神不調になる事を強調されています。
鉄の不足は、皆様も御存知の通り貧血につながります。月経が関与する為に、若い女性に多くみられ、鉄剤を投与される場合もあります。
レストレスレッグ症候群(足がムズムズしてじっとしてられない)の原因の1つです。
産後うつ病等のうつ状態に鉄剤投与が有効であるとの報告もされています。
貧血がなくても、血清フェリチン値(鉄の銀行口座みたいなもので、貯蔵されている鉄の指標)が50ng╱ml未満の場合は潜在的鉄欠乏性貧血状態になると思って下さい。

7)低コレステロールはうつになる?

コレステロールが高くて食事療法や薬物療法を受けている方は沢山いますよね?
しかし、コレステロールが低すぎるとうつ病のリスクが高まるという研究結果が出ています。
細胞膜のコレステロール減少が、セロトニン受容体機能低下につながるようです。過度なダイエットは危険であり、バランスよい食事を心掛けましょう。

8)『脳腸相関』とは?

脳と腸はつながっています。こころの不調つまり脳の不調は、下痢・便秘・腹痛等の消化器症状を呈し、胃や腸の不調はこころの不調を引き起こします。
脳はセロトニン不足で、腸はセロトニン過剰な状態です。乳酸菌飲料やヨーグルトを摂る事で、脳と内臓間のストレス反応を軽減してくれます。
ヤクルト1000はストレス緩和と睡眠の質向上によいといわれており、これ1本で普通のヤクルト5本分のシロタ株摂れます。ヤクルトの山田選手や村上選手がホームランを打てるのはこのおかげかな?(ちなみに私は生粋の読売ジャイアンツファンでありますが、本当に村上にはいいところで打たれ続けました。)